2008年06月05日
インタビュー#03 前崎弥生さん
去る6月3日に(株)コロンバス 前崎弥生さんが新聞社から受けた取材内容について、このブログをお読みくださっている商店街関係の方にも参考になる部分もあると思いますので、拙筆ながら簡単にご紹介させていただきます。◆◆◆参考サイト:「くまもとのがんばる商店街Blog」
→ ●
●商店街がブログで情報発信することのメリットは、何だと思いますか。
商店街にあって大型店にないものは「コミュニケーション」で、ここの差別化を商店街は徹底的に追及していかないといけないと思っています。
ただ、商店街は、“思い”はあっても、それを発信する技術が不足しているところが多いんですね。大型店のように一定の販促費があるわけでもありませんから。
ブログは商店主さんが自分で書きます。自分の名前で、自分の時間を使って書いているので、ブログをとても大切にして育てようとするんですね。何より、文章を書くためにお店を徹底的に見直しますから、個店の活性化に繋がります。
私は20年、商工会議所などのアドバイザーとしてたくさんの店に派遣されていますが、私がアドバイザーとして行っても、お店側は「教えてもらう」という姿勢ですので、改善に繋がるスピードが遅いんですけど、ブログを書いていると日々お店のことを見直していますから、アドバイザーが行かなくても、自分で考えて実行に移していかれるんです。これは、1期生(注※ブログ販促講座平成19年度受講生)で証明されています。
そんな店が商店街にたくさんあったら、商店街も活性化していくのは自然のことと思います。
●ホームページではなく、ブログなんですね。一番わかりやすいところでは、ホームページはお金を払って商店街の“外”の人に作ってもらう場合が多いですけど、ブログは無料で、自分で手軽に、タイムリーな情報を発信できるんですね。
商店街でホームページをつくっても、相当の組織力があってきちんと管理していかないと、作るだけ・更新されないものになりがちです。商店街を構成する個店の魅力はあるのに、もったいないと思いながら、いくつもそういう事例を見てきたので、魅力を持っている個店が力を合わせて、商店街として情報を発信するブログは、うまくいくのではないかと思っていました。
●「ビジネスブログ」ということですが。
あくまで店の販促の道具のひとつだから、日記になってはいけない。でも、ただの会社案内にしてはいけない。リラックスした文章で敷居を下げつつ、お店のポリシーを入れつつ、決して押し売りにならないようにしつつ……という、一定のラインがあると思っています。
1期生の皆さんはそこを敏感にかぎ取って、それぞれが個性のある「ビジネスブログ」を作ってくださいました。
●ブログは商店街の活性化に繋がりますか。
私の最初の仕事は、お店のディスプレイをすることでした。
依頼を受けて1店1店飾り付けをしていくんですけど、私が気になったのは、「店と客の間」のみならず、「店と店の間」だったんです。どのお店も自分の店はきれいにするけど、店と店の間はあまり関心を持たない。でも、個店だけが努力しても、商店街は「まち」としての魅力もなければ、商品は売れないんです。
それで、店と客のすき間、店と店のすき間を埋める仕事がしたいと起業したのが、17年前のことでした。商店街のお仕事には、それ以前から関わっていたので、約20年になりますね。
商店街が組織力を持って動けば、単なる個店の足し算ではない魅力のあるまちができると思っています。
1期生の皆さんから、「ブログを始めたことで、実はよく知らなかった隣の店のことがわかった」というお話をたびたび聞いていますが、商店街の店と店の間をつなぎ、“面”で情報発信できるブログは、組織力を高める格好のツールでもあると思います。
ブログ販促講座にご参加いただいた水道町親和会は、会長さん自らがご参加いただいてブログの可能性を体得していただいたうえ、会長さんが商店街の皆さんと信頼関係を築かれているので、各店舗への普及がとても早かったです。ああなれば理想的だと思っています。
ブログは、店と客のすき間、店と店のすき間を埋めることができます。
販促としては地道かもしれませんが、地域を特化したブログのポータルサイトを活用したコミニュケーションは、商店街にとっては即、効果の出る、すぐれものだと思っています。
--- イキヌキ ---平成20年度ブログ販促講座の新キャラです♪ →
2007年09月27日
インタビュー02 岡田佳子さん(珈琲豆販売・喫茶)
**********************************
1.老舗を必死で建て直し
岡田さんが専務を務める岡田珈琲は、創業60年の歴史をもつ老舗。市内各地に5つの店舗を有しています。
高校卒業と同時に菓子職人を志して兵庫県に修行に出た岡田さんが、20歳で熊本に戻ってきたとき、岡田珈琲は月々の売上と借金の返済額が同じ額という経営状況だったといいます。「経営のことは何も分かりませんでしたが、明日潰れてもおかしくない事態であることははっきり分かりました」と岡田さん。会社の建て直しを至上命題とされた岡田さんは、一つのお店の店長として必死の努力を重ね、月々の売上を対前年比で15%ずつ伸ばし続けました。若くして店長となった岡田さんに反発する社員もいましたが、次第に助けてくれるようになっていったそうです。「経営者が“必死さ”を伝えることは、大切なことだと思います。必死でやる人間には、ついてきてくれるんです」と岡田さんはいいます。
それでも、客単価も回転率も限られている喫茶店と、珈琲豆の販売だけでは売上は伸びないと気づいた岡田さんは、自ら修行を積んだ洋菓子の製造販売に力を入れることで売上拡大を狙うことにしました。
岡田珈琲はケーキや焼き菓子の開発を重ね、次第に安定的な売上を確保できるようになってきました。商品開発のコツを岡田さんに尋ねると、「業界の真空を狙うこと」「安心感を与える商品を売ること」のふたつの答え。人がやっていない、人と争わなくて済む分野で、抵抗感のない商品で勝負していく、ということです。7年前に開発してヒット商品となった「上通アイスキャンデー」も、誰にとってもに馴染みの深いアイスを、熊本にはまだ専門店がなかった「アイスミルク」で作ったもの。販促はほとんどしなかったそうですが、口コミで評判を呼び、伸び悩んでいた夏の売上を底上げするのに寄与したそうです。
そして、商品開発に力を入れるのと同じぐらい、定番商品を提供し続けることも大切だと岡田さんはいいます。「老舗に限らず、訪れるお客さんがお店に求めるのは「普遍性」だと思うんです。いつ行っても定番商品があるという信頼を得るために、定番商品は売れても売れなくてもきちんと揃えておかないといけないと考えています。」と岡田さん。看板商品であるコーヒー豆、ショートケーキなどの定番のケーキは、どんなときも店頭に並べられるようにしているそうです。
岡田珈琲の特徴は、ほとんど広告を行っていないこと。老舗ゆえの知名度もあり、来店するお客さんの99%は口コミ。そんなお客さんに次も来ていただくため、レジでお金を払うときの表情をつぶさに観察しているそうです。「お金を払うときって、本音が出るんですよ。お客さんが意見を言うときは最終段階。それじゃぁ遅いんです」と岡田さん。お客さんの反応が思わしくないと感じると、何がいけないのか考え抜いて、どんどん変えていくそうです。
また、特に力を入れているのは、掃除の徹底。売上が下がる要因は、やる気のない空気。そんな空気を変えるのに一番効果的なのが掃除だそう。「掃除というのは、経営者の真剣さが顧客にも従業員にも伝わる方法。“掃除が当たり前”の社風を皆で再確認すると、必ず3ヶ月後には売り上げが上がるんですよ」と岡田さんは語ります。
4.変わらずにいるために
マーケティングや店づくりのアドバイザーは一切雇わず、すべて自分たちで考えてつくりあげていく岡田珈琲。パートを含めて60人いる従業員の教育は、一番力を入れているところだそうです。「うちの会社の目的は“永続させること”。この目的を共有するために、常に従業員と価値観のすりあわせを行っています。会社はなかよしグループではなく、利益を出すことを目的とした“機能体”。ですから、経営者として従業員に明確なメッセージを出し、結果を出さないと評価されないということを認識させています」と岡田さん。
老舗の看板を大切にしながら、それに頼ることなく、商店として当たり前のことをこつこつと重ねる岡田珈琲。熊本の人たちに安心とやすらぎを提供し続けるため、これからも毎日変わり続けていくそうです。
●岡田珈琲HP : http://www.okada-coffee.com/
*******************************
ということで、「出店ノウハウ講座」の受講生は、2グループに分けて実際の経営者の声を生で聞いてきました。
貴重なお話をヒントに、受講生は自分のお店をどんなお店にしたいのか、今一生懸命考えているところです
2007年09月19日
インタビュー01 市原幸夫さん(アイスクリーム製造販売)
現在熊本県で開講中の「出店ノウハウ講座」のカリキュラムに、「繁盛店視察」があります。県内で人気のあるお店を経営している方を訪問して、創業や経営についてのお話をお聞きして創業への意欲を高めていただくことを目的にした、一番人気のあるカリキュラムです。今年は、山鹿市鹿本町「水辺プラザかもと」のアイスクリーム屋「ピアンタ」と、熊本市上通の老舗喫茶店「岡田珈琲」にお邪魔しました。そのときお伺いしたお話を、2回にわけて掲載します。
まずは、9月12日(水)の夜に訪問した「ピアンタ」を経営する、株式会社パストラル代表取締役の市原幸夫さんのお話です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.市原さんの創業
市原さんが経営する株式会社パストラルは、地元山鹿産の農産物を使ったアイスクリームをつくっています。市原さんが創業したのは44歳のとき(平成9年)。それまで、営業、接客業、設計業など数多くの職を転々とし、それぞれの仕事で実績を重ねていく中、地方自治体の物産館設計を手がける際に農産品加工グループと知り合ったことが、市原さんの転機になりました。農家を何とかしたいという思いが強くなった市原さん、「農産品加工のビジネスモデルを作ろう!」と思い立ち、3,000万円かけてアイスクリーム加工場を建設しました。
アイスクリームを選んだ理由は「好きだから」。創業にあたって市原さんが積んだ実務経験は、イタリアのジェラート製造器を売る会社での10日間のジェラート試作だけでした。作り方ではなく、アイスクリームができる工程を憶えて、自分は経営者として戦略を持とうと思ったそうです。パート従業員を3人雇って、市原さんのアイスクリーム工場は動き出しました。「食も農業も、知識も経験も全くゼロ。アイスクリームを売る先のあてもゼロ。税理士に『無謀なことしましたね。悪いことは言わないから今すぐやめなさい』って怒られましたよ」と市原さん。それでも家族や周りを巻き込んで創業したのだからやめるわけにはいかない、と頑張り通し、やっとわずかな給料(役員報酬)が出るようになったのは、創業6年目のことだったそうです。
2.市原さんの顧客
市原さんの最初の“顧客”は物産館。県内各地の物産館を営業して回り、その地の特産品を使ったアイスクリームを開発し、商品化して売っていました。しかし、物産館を訪れる観光客をターゲットにすると、パッケージや宣伝広告などに手間と費用がかかるほか、冬になるとアイスクリームは全く売れないという致命的な問題がありました。そんななか、地元のホテルで「県外からのお客さんが、地元産アイスクリームをすごく喜ぶ」という話を聞いた市原さん。ホテルや飲食業ならば、室内でアイスクリームを食べてもらえるから季節は関係ないし、パッケージに凝る必要もないから低コストで済むと気づき、その後は「業務用アイスクリーム」と銘打ち、ホテル・飲食業界をメインターゲットに変えた経営を続けています。
「ターゲットを誰にするかは非常に大事です。どうしたら競争が多い中でお客さんに選んでもらえるのか、とことん考え抜くこと。アイスクリーム屋なんて、掃いて捨てるほどあるんですから。」と市原さんは力を込めます。
3.ニッチ市場を狙う
市原さんの商売は、「いいものを少量、顔が見えるお客さんにだけ売る」というもの。「アイスクリームの材料にする果物を分けてもらいに農家に行くんですけど、5㎏とか10㎏なんですね。農家の人からすると『勝手に持っていって』と言われるようなわずかな量です。でもこれは全部、間違いのない顔見知りの農家から仕入れた一級品なんです。こうした農村の中にあってはじめて成り立つ、大手企業がいくらお金を払っても真似できない市場が、農村部だからこそ安い資本で成り立っているんです」と市原さん。同じ果物を使ったアイスクリームでも、畑や季節の違いによって全く味が違うそうです。味の均一化が至上命題の大量生産のアイスクリームではあり得ないことですが、市原さんは「それが当たり前だ、と大手の逆手を取ってPRするんです。」と胸を張ります。
市原さんが取引している業者は現在250件。1件あたりの売上は数万円の“小口商い”ですが、安定的に買ってもらえる業者ばかりです。「答えはすべてお客さんが持っています。顔の見える人だけを相手に、ニーズを見極めながら作っていくと、絶対に売れるんですよ。」と市原さん。3,000件の顧客獲得を目指して、きめ細かな営業活動が続けられています。
4.市原さんの夢
「商売は、自分の思いと現実との間に、いかにギャップがあるかを思い知らされる連続です」と語る市原さん。それでも続けていく原動力は何ですか、と尋ねると、「零細企業が地域の暮らしに溶け込みながら大手企業に対抗できるということを見せ続けたい、という使命感です」との答え。
市原さんの夢は、中山間地でアイスクリーム販売をビジネスとして成立させること。その夢を叶えるべく、現在もフル稼働で活動中です。
● (株)パストラルHP : http://www.niceice.jp/


